ダニは冬でも死滅しない
寝具の環境を悪化させる二大要因と言えば、カビとダニ。
このうち、ダニは寒くなると死んでしまうので、冬の間はとくに対策を講じる必要がないと考えている人もいるようですが、それは大きな間違いです。
ダニの生命力は、わたしたちの想像以上に強く、下記の3つの条件が整えばあっという間に繁殖してしまいます。
(1)70%以上の湿度
(2)20度以上の温度
(3)エサがあること
冬場はエアコンなどの暖房器具を使うことで、室内の空気が温められてしまい、空気中の水分がくっついて床や窓に結露が発生しやすくなります。
それに、布団にこもった汗の水分は夏のように乾燥しにくくなりますから、室内は70%以下の湿度になっていても、布団の中はジメジメしていることが多いのです。
また、エアコンを切った状態で寝ると部屋の温度は20度以下になりますが、寝ている間は体温で布団の中が温められるため、20度以上になってしまいます。
さらに、ダニのエサとなるフケやカラダからはがれ落ちる古い皮膚は、一年中布団に付着しているので、冬でもダニが死滅することはないのです。
今回は、ダニが繁殖しやすくなる3つの環境を改善して、快適な睡眠を得るための方法を紹介していきます。
普段の行動の中にも、改めるべきポイントがたくさんありますので、記事を読み終わったらすぐに対処してくださいね。
今日から始める寝具の湿気対策
冬の夜はかなり気温が下がりますので、寝ている間に汗をかくことはないと思っていませんか?
しかし、よほど薄着で布団の枚数も少ない状態になっていなければ、寝具の中は次第に温度が上がっていき、コップ1分ぐらいの汗をかきます。
この発汗で発生した水分は、半分以上がマットレスや敷布団などの敷き寝具に浸みこんでいきますから、布団の中の湿度が上昇するというワケです。
では、布団の湿気を下げるための、具体的な方法をチェックしていきましょう。
敷きパッドやベッドパッドを使う
みなさんは、薄いシーツを敷いて寝ていると思いますが、これだけだとほとんどの汗が通過して敷き寝具に移ってしまいます。
そこで利用したいのが、敷きパッドやベッドパッドといった補助寝具。
いずれも、シーツより厚さがあって、吸湿性にも大変すぐれているため、汗をしっかり吸い取ってくれます。
敷きパッドはシーツの上に敷いても構いませんし、シーツ代わりに使うのもOK!
保温性が高いアイテムも販売されていますから、寒がりの方は機能性が高い敷きパッドを使ってみるといいでしょう。
もう1つのベッドパッドは、シーツの下に敷いて使います。
2つの寝具で敷き寝具への水分浸透をガードできますので、こちらも湿気対策に有効です。
ちなみに、ベッドパッドには、機能性が低下してきた寝具をサポートする役割もあります。
寝具は使っているうちに、へたりが発生して、カラダの一部に圧力がかかって快眠の妨げになることがあります。
こんな時に、ベッドパッドを使えば、寝心地もよくなりますし、腰痛や背中痛みの原因となる「寝具の沈み込み」も防げますから、ぜひ、使ってみてください。
床面やベッドとの間に吸水シートを敷く
敷き寝具が吸い込んだ水分は、時間が経つにつれて下部に移動していきます。
つまり、寝具の底の部分が湿気っぽくなり、ここからダニやカビが発生するのです。
この状態を改善するには、空気が放質されるスペースを作るのが効果的です。
マットレスをフローリングにそのまま敷いている方は、すのこを敷いてその上に寝具を乗せてください。
床面との間に空気の流れができますから、水分が効率的に放出されていきます。
また、すのことマットレスの間には、繰り返し使えるタイプの吸湿シートを敷くこともお忘れなく。
2つのアイテムで、床にたまる結露なども吸収・蒸発させることができますので、冬のダニ対策が効率的に進みます。
ベッドの上にマットレスを設置している方も、敷き寝具の下に防湿シートを敷いてくださいね。
通気性のいい枕に買い替える
湿気がこもるのは、敷き寝具だけではありません。
頭を乗せる枕にも、頭部から出た汗が浸み込んでいきますから、湿度ケアが不可欠となります。
まずは、今使っている枕に湿気がこもりすぎていないか、手で触って確認してみてください。
もし、生地に黒い斑点ができていたら、カビが生えている証拠です。
枕に発生したカビは、自宅で行なうケアでは改善できませんから、この場合は迷わず今使っている枕は捨てて、新しい枕に買い替えてください。
カビは生えていなくても、天日干しや布団乾燥機をかけてみて、へたった状態のままになった時も、やはり買い替えを検討するべきでしょう。
ダニとカビの上に頭を乗せてねると、アレルギー症状が出やすくなりますし、敷布団や掛布団に移動して、寝具全体の衛生環境が最悪の状態になりかねませんから。
おすすめは丸洗いできる枕
新しい枕を買っても、こまめに湿度のケアをしなければ、すぐにダニやカビの温床になってしまいます。
こうした状況に陥らないためにも、枕カバーはこまめに取り替えるようにして、天日干しで中の水分をしっかり飛ばしてください。
(素材によっては、天日干しNGの枕もあります)
ダニやカビ対策をさらに徹底するなら、丸洗いできる枕を選ぶという手もあります。
洗濯機で洗える枕や、手洗い可能なタイプもありますから、衛生状態をキープするために購入を検討してみてはいかがですか?
とくにおススメなのは、表面にたわし素材が使われた「新・睡眠用たわし」です。
写真を見ただけでは、枕とは思えないインパクトがある新・睡眠用たわしは、中材に透過度が非常に高いポリエチレンを使っているため、シャワーを本体にかけてもすぐに水が流れ落ちていきます。
洗って陰干ししておけば、ほんの30分ぐらいで水分は、ほぼなくなりますので、すぐにベッドで使えるぐらい、撥水性にすぐれているのです。
気になるのは、枕の使い心地ですね。
たわし繊維は、手で触っただけでもチクチク強い刺激を感じますので、最初は違和感を覚えるかもしれません。
しかし、頭圧分散力が優れているうえに、たわしの先端が頭皮をマッサージしてくれるので、次第に刺激が快感に変わっていき、気が付いたら寝落ちしてしまう人もいるのです。
さらに、バツグンの通気性を持ちあわせていますので、今までにない快眠に誘われると、ネットでも好評を得ています。
刺激に弱いという方は、専用の枕カバーでたわしの面積を減らすことができますし、枕の上にタオルをかければ、自分好みのチクチク感に調整可能です。
低反発や高反発など、さまざまなタイプの枕を使ってみたけど、
「これだ!」
と思える枕にまだ出会えていない方は、たわしの感触を試してみてください。
きっと、
「こんな枕を探していた!!」
と感じるハズですよ。

温度対策はあまり気にする必要はない?
つづいて、温度のお話しです。
ダニが繁殖しやすくなる20度という温度は、寒くもなく暑くもない、ちょうどいい環境になります。
また、寝室はリビングより温度が低くなっていますし、寝る前にエアコンをつけても、スイッチを切ったら20度以下になりますので、室温はあまり気にしなくていいでしょう。
ただし、あんかや電気毛布などを使う場合は、注意が必要です。
ひと晩中、こうした暖房機器を使っていると、布団の中が高温になってしまいますし、室温との温度差が激しくなって、寝具の底部に湿気がたまりやすくなります。
寒い布団に入ると、寒くて寝られないとか、常に手足の先が冷たいという方は、寝る30分ぐらい前からあんかや電気毛布のスイッチを入れておきましょう。
そして、眠ってから30分後にスイッチが切れるようにしておけば、寝具内の温度を必要以上に上げることを防げます。
ダニのエサを増やさないひと工夫
ダニのエサとなるカラダの老廃物の中には、目に見えないものもあります。
それを放置しておくと、あっという間にダニの数が増えて、寝ている間にかゆみなどが発生しますから、下記に挙げる方法でこまめにケアしてください。
寝具の表面に付着したゴミは“コロコロ”で取り除く
夜寝る前の習慣にしていただきたいのが、敷き寝具の掃除です。
日中、寝室に入らなくても、空気中にはさまざまな有害物質が浮遊していて、これが寝具に付着します。
そこでまず、ローラーにテープが取り付けられた“コロコロ”を使って、寝具表面の汚れを取り除いていきましょう。
シーツの上だけでなく、抜けた髪の毛がくっついている枕も同様です。
毎日数分、コロコロで掃除するだけで、ダニのエサはかなり減りますよ。
時間がある時はクリーナーで除菌も
コロコロで取り除けるのは、主に布地の表面に付いたゴミだけですので、これだけではケアが不十分です。
そこで、週に3~4回のペースで行ないたいのが、クリーナーによる掃除。
掃除機でも構いませんが、ハンディータイプの布団クリーナーを使えば、疲れている時でもカンタンに寝具のお手入れができます。
また、UVライトが搭載されていて、除菌ができるタイプのクリーナーだったら、アレルギーなどを引き起こす雑菌も死滅させることができます。
敷き寝具だけでなく、枕の衛生状態もキープできますので、こちらも快眠のために購入することをおすすめします。
コロコロやクリーナーで取れないダニのエサとは?
テープで取り除いたり、クリーナーで吸い取ったりしてもとれないダニのエサがあります。
それは、皮脂です。
言うまでもなく、皮脂は油分ですから、これを溶かす界面活性剤という成分が含まれた洗剤で洗わなくては、しっかり落とすことができません。
そこで必要になってくるのが、シーツの洗濯です。
週に1度は洗濯機で丸洗いをして、頑固な油分を取り除きましょう。
ポイントは、60度以上のお湯で洗うことです。
これぐらい高温になると、生命力が強いダニも死滅します。
ただし、通常の洗濯物の中には、高温で洗うと生地が傷むものが多いですから、シーツだけ分けて洗濯するようにしてくださいね。
また、洗濯機でシーツを洗うと、ゴワゴワした感触になってしまいますので、柔軟剤も使うのが基本。
ただし、安価な柔軟剤だとシーツの傷みが激しくなります。
できれば、布団用の柔軟剤でやさしく洗浄するようにしてください。
年に2回は布団クリーニングに出す
普段の湿気対策を完璧に行ない、寝具の掃除や洗濯をこまめに行なっていても、敷き寝具に浸みこむ水分をゼロにすることはできません。
そこで、みなさんにおすすめしたいのが、布団専門のクリーニング業者に寝具の洗浄をお願いすること。
自宅でのケアと違って、業務用の洗剤と布団ケア専用の器具を使って、生地の奥に潜んだダニやカビを除去できますし、寝具の機能回復につながることもあります。
夏と冬の終わりに1回ずつ、年に2回のケアを行えば、睡眠環境はかなり快適になりますし、寝具の持ちもよくなりますよ。
寝室の湿気対策も行なえば完璧
最後に、寝具の湿気を増やさないための、寝室のチェックポイントを上げていきます。
お手軽なグッズで湿度を改善できますので、みなさんも実践してみてくださいね。
カーテンの丈を長くする
窓を閉めておけば、外の冷たい空気が入ってくることは防げますが、窓付近にたまった湿気を含んだ冷気は、カーテンの隙間から室内に流れ込んでいきます。
この冷気が温められると、室内にも水滴ができて寝具に移ってしまいますから、冬場は丈の長いカーテンを使ってこのすき間を作らないようにしましょう。
また、窓ガラスにエアパッキンを貼るのも効果的です。
こうすると、窓と室内の間に空気の層ができますので、ガラスの結露も防いで湿度が上がることを防げます。
寝室に洗濯物を干さない
ワンルームのアパートやマンションの場合は、洗濯物を干す部屋とベッドがある部屋が同じになってしまいますよね。
しかし、こうした環境は寝具の湿度を急上昇させてしまいますので、洗濯物はバスルームに干すようにしましょう。
バスルームの換気扇をつけて、洗濯物に向けて扇風機の風を与えれば、衣類などを効率的に乾燥させることができます。
晴れた日は窓を開けて喚起する
寒い冬の日でも、カラッと晴れた日は窓を開けて、外の空気を取り込みましょう。
ただし、湿度が高い日は湿気を呼び込んでしまいますので、気象庁のホームページなどを見て、湿度を確認する必要があります。
また、1月下旬を過ぎると、場所によってはスギやヒノキの花粉が飛散しますので、花粉症の方は花粉情報も合わせてチェックするようにしましょう。
ベッドでお茶などを飲まない
寝る前のリラックスタイムに、ベッドでハーブティーを飲むことってありますよね。
でも、お茶を布団にこぼしてしまったら、汗と同じように水分が寝具に浸みてしまい、布団の環境が悪化してしまいます。
こうしたトラブルを防ぐためにも、ベッドのそばにサイドテーブルを置くなどして、万一の備えをしておいてくださいね。
今回のまとめ
ダニがわたしたちのカラダに与える影響は、そんなに大きいものではないと感じますが、長期的にダメージを受け続けていると、健康リスクがどんどん高まっていきます。
何よりも、深い眠りが妨げられて、疲労回復が進みませんので、あらゆる手段を講じて湿気から寝具を守り、ダニのエサはすぐに取り除く習慣を身に付けましょう。
こうしたケアを徹底すれば、寝心地のよさがグンとアップして、布団に入るのが楽しみになりますよ。