寝る時に体温が下がるのはなぜ?
わたしたちのカラダには、規則正しくはたらくリズムがたくさん備わっていますが、体温の変化もその1つ。
朝起きた時は体温が低くなっていますが、カラダを動かしているうちに上昇していき、夕方にピークを迎えます。
個人差はありますが、早朝と夕方の体温を比べると、1度ぐらいも違っているのです。
これは、日中の活動をスムーズにするために、神経のはたらきで体温を上げ、内臓や脳、筋肉などが動くようにサポートしているためで、休息モードに入る夕方過ぎから温度が下がっていきます。
また、この体温リズムは、寝る時はカラダの深部の温度を下げるようにはたらき、1日の活動で疲れたカラダのクールダウンを促すのです。
日常生活をこのようなリズムに合わせて、寝る前にしっかり体温が下がるように寝具環境を整えたりすれば、わたしたちの寝つきはかなりよくなりますし、眠りが深くなってストレスや疲労回復が進みます。
そこで今回は、この体温リズムをうまく利用した、快眠体質になるための寝室や寝具の環境についてお話を進めていきます。
寝室の温度や寝具の選び方、さらには生活習慣にも焦点をあてて、寝つきの悪さや夜中に目が覚めるといったお悩みを解消し、朝の目覚めを爽やかにする方法を覚えましょう!
寝室や寝具を適切な温度と湿度に調整するだけで、快適度はグンとアップして、日中の行動力も向上することが期待できますよ。
まずは、寝る時の体温変化をもう少し掘り下げてみましょう。
内臓の温度を下げるために発生する皮膚温の変化
寝る前の体温低下は、快適な睡眠に必要な変化ですが、夜になると手足の先は温かくなっていることにお気づきでしょうか?
実は、体温には2種類あって、1つはカラダの表面の温度である「表皮体温」で、もう1つは内臓付近の温度である「深部体温」です。
深部体温は表皮体温より1度ほど高くなっているのが普通で、体温が低い状態が続くとカラダの抵抗力が落ちて、さまざまな病気にかかりやすくなります。
この深部体温を下げるために起きているのが、表皮温度の上昇という変化。
皮膚の表面から熱を放出して体温を下げようとしているため、夜になると手足の先が温かくなるといった状態になるのです。
ところが、寝室の環境や布団の中の環境が悪化していたり、夜の間違った習慣で表皮温度が低くなったりすると、深部体温の低下が発生しなくなり、寝つきが悪くなります。
では、具体的にどのような環境が2つの体温に影響を与えるのか、詳しくお話ししていきましょう。
快適な睡眠をかなえる室温と湿度の設定
夏は蒸し暑くて冬は寒いという、四季の特徴がハッキリしているのが日本の気候の特徴ですね。
こうした環境の変化によって、わたしたちが快適と感じる温度や湿度は変わってきます。
つまり、夏と冬とでは、体温リズムを乱さないためにも、寝室の温度と湿度を変える必要があるということです。
夏の快適環境
寝苦しい夏は、室温を26度前後、湿度は60%前後に保つようにしてください。
集合住宅の最上階や、一軒家の二階に寝室がある場合は、日中は建物の屋根や壁に日光が当たって室内も蒸した状態になる一方で、夜は壁などに蓄積された熱が室内に向かって放出されます。
猛暑日、酷暑日といった気温が非常に高くなる日は、この熱の蓄積量と室内への放出量が非常に多くなり、外より寝室の温度が高くなるなんてこともしばしば。
このような環境で寝ようとしても、なかなか寝付けないのはもちろんのこと、何とか眠ったとしても、寝苦しくて夜中に何度も目が覚めてしまいますね。
不快な夜に睡眠の質が落ちないようにするためにも、エアコンは自動設定にして朝までつけっぱなしにし、適切な室温と湿度が保たれるような環境にしましょう。
エアコンの風が直接カラダに当たらないように風向きに注意すれば、朝起きた時にだるいと感じることはないですし、夏風邪をひくことも避けられます。
また、壁に向かって扇風機をつければ、部屋全体に涼しい空気が循環して、快適度はさらにアップしますよ。
冬の快適環境
寒くなる冬の寝室は、夏場より低い18~23度ぐらいの温度を保ち、湿度は50~60%の範囲になるように調整しましょう。
湿度が60%を超えると、快眠の大敵であるカビが室内だけでなく、寝具内にも発生します。
さらに、湿度が70%を超えるとカビの増殖スピードが上がりますので、加湿器と除湿器をうまく使い分けて最適な湿度をキープしてください。
夜の寝室とリビングの温度差が激しい場合は、寝る30分ぐらい前から暖房をつけておいて、2つの部屋がなるべく同じ温度にするといいですよ。
人間のカラダは、5度以上の温度差がある環境に移ると、カラダに疲労が蓄積してしまうので、寝る前の室温はとくに注意です!
寝床内気候は年中同じ状態をキープする
続いて、布団の中の温度と湿度の話しです。
布団をかけて寝ていれば、寒い冬の季節でも、寝ている間にコップ1杯分の水(約200ml)の汗をかきます。
これは、体温調節のための正常な反応ですが、寝具内の環境が低下すると発汗量は増え、寝苦しさが発生。
深い眠りが得られなくなってしまうのです。
こうした寝具によって変わる環境は「寝床内気候」と呼ばれていて、1年を通して温度が31~33度、湿度が50%であることが快適環境とされています。
しかし、寝具がカラダに合っていないことや、間違った使い方をしていることで、寝床内気候はすぐに悪化します。
では、その具体例をチェックしていきましょう。
寝床内気候が悪化する原因1:カラダや頭が沈み込みすぎる寝具を使っている
寝具にはさまざまな素材が使われていますが、最近人気なのは、カラダや頭部をやさしく包み込むような、快適な寝心地が得られる「低反発ウレタン素材」です
しかし、品質が悪い寝具だと、“カラダの沈み込み”が発生し、寝具とカラダが接している部分に熱と汗による湿気がたまるうえに、体圧が集中してしまうため、寝苦しさを感じて眠りが浅くなってしまいます。
こうした不快な状態を解消するために行なうのが寝返りなのですが、寝具の影響でカラダが沈んでいると、うまく姿勢を変えることができなくなるのです。
また、使い始めはしっかり寝返りが打てるような状態であっても、寝具は使っているうちに体圧分散機能や復元率(力をかけた時に元の状態に戻る機能)がどんどん低下していきますから、知らず知らずのうちに寝具内環境が悪化していることも。
朝目覚めた時に、カラダの一部、とくに腰が痛いと感じ、熟睡感が得られていない方は、寝具の機能が低下していて、快適性が損なわれている可能性があります。
寝床内環境の悪化と、寝返りがうちにくい状態は、眠りの質を悪化させるだけなので、寝具のへたりが目立ってきて、ケアしても機能が回復しないようだったら、すぐにでも新しい寝具に買い替えるべきでしょう。
寝床内気候が悪化する原因2:マットレスにそのまま寝ている
マットレスに何も敷かず、そのまま寝ている方って非常に多いですが、これは間違った寝具の使い方です。
寝ている間にかく汗の水分が、そのままマットレスに移ってしまい、放湿できない状態になってしまいますので、布団をかけると蒸れた状態に。
また、寝返りの時にマットレスの表面が擦れてしまうため、寝具の傷みが激しくなります。
でマットレスの上には汗をしっかり吸収・放湿できるベッドパッドを敷いて、その上に自分好みのシーツをかけるというのが、正しい寝具の使い方です。
シーツは、肌触りのよさを重視して問題ありません。
「心地よい!快適!」
と感じることが、快適な睡眠につながる1つの条件ですから。
寝床内気候が悪化する原因3:マットレスの向きを変えない
どんなに体圧分散力が優れたマットレスでも、いつも同じ向きで寝ていたら、特定の部分のへたりが進んでしまいます。
とくに、腰はもっとも圧力が集中するところなので、マットレスの中央部がくぼんだ状態になることもあるのです。
このような寝具の劣化を招かないためにも、マットレスは定期的に裏返しにしたり、180度回転(足の部分を頭に)させたりして、一か所に体重がかからないようにしてください。

寝床内気候が悪化する原因4:頭に熱がこもりやすい枕を使っている
寝る前にカラダの深部を低くするように、頭部も熱がこもらず、涼しい環境に保つ必要があります。
とくに、寝る前は頭部の温度が下がり、脳が冷えやすい環境に整えなくてはなりません。
そこで注目したいのが、通気性に優れた枕。
頭は熱がこもりやすいですし、寝ている間に汗をかいたら蒸れてしまいますから、敷布団や掛布団同様、高い吸湿性と放湿性を保持している必要があります。
ですから、枕を選ぶ時は感触のよさだけでなく、機能性の高さもしっかりチェックするようにしてくださいね。
枕も低反発ウレタン素材が人気ですが、熱がこもってムレやすく、頭の移動がしにくい商品もありますので、こちらも徹底した機能チェックを行なってから購入するか否か決めるようにしましょう。
【おすすめ商品】
快適な睡眠環境を実現する、機能性バツグンの枕「新・睡眠用たわし」を紹介します。
この寝具の最大の特長は、常識を覆す「たわし素材」を枕の表面に使っていること。
手で触っただけでも、チクチク痛みを感じるのですが、ここに頭を乗せると不思議なことにマッサージをされているような、とても心地よい感覚に包まれるのです。
また、枕の中材にも通気性が非常に高いポリエチレンを使っていますから、寝る前の頭部は涼しく感じる温度をキープ。
一般的な枕(ポリエステル100%素材)と比べると、5度ぐらい頭部の温度が下がります。
これによって、寝つきが非常に良くなりますし、寝ている間はたわしの硬い繊維が理想的な圧力分散を行ない、深い眠りに誘うのです。
さらに注目なのは、他の枕にはない撥水性も備えていること。
なんと、新・睡眠用たわしは、シャワーで丸洗いができるため、カビやダニのエサとなるフケや古い角質をカンタンに除去できます。
しかも、洗った後は直射日光が当たらない場所で干しておくだけでOK!
30分もすれば、中の水分がほとんどなくなりますから、寝る1時間ぐらい前にお手入れとして洗っても、夜の睡眠に使えてしまうのです。
丸洗いできる機能は、一部の枕にもありますが、どうしても素材の劣化スピードが上がってしまいますし、乾燥などのケアがとても大変というデメリットが目立ちます。
その点、新・睡眠用たわしでしたら、朝の洗顔や入浴時にシャワーをかけて干すだけという、カンタンなケアで済んでしまいますから、忙しい方の快適な睡眠環境づくりにもってこいの枕と言えるでしょう。
寝床内気候が悪化する原因5:敷き寝具を床に直接敷いている
フローリングの床に敷き寝具をそのまま敷いてしまうと、汗の水分が放質される場所が失われてしまうので、床と寝具の間にカビが生えやすくなってしまいます。
当然、寝具の中の湿度は高くなってしまい、寝床内気候が悪化。
さらに、カビの影響でアレルギー反応などが発生し、寝ている間に何度も目が覚めてしまうことも。
敷き寝具は、床の上に直接敷かないのが、快適性をまもるための基本です。
でも、部屋にベッドを置けないなどの理由で、どうしてもこのような環境で寝なくてはならないという場合は、少し面倒ですが、朝起きたら敷き寝具を立てかけたり、洗濯物干しなどの器具にかけたりして、中にこもった水分の放湿を促してください。
そして、敷き寝具の下には吸湿シートと、すのこのような通気性を確保できるグッズを敷くこともお忘れなく。
深部体温の特徴を利用した入浴方法
最後に、深部体温が寝る前に低下すると寝つきがよくなるというカラダの仕組みを活かした、賢い入浴方法について解説します。
お風呂に入ってお湯に浸かると、当然のことですが、体温は上昇します。
この状態で布団に入っても、下がりかけた深部体温が上がってしまいますので、寝つきは悪くなるのです。
ところが、寝る2時間前に少しぬるめのお湯(38度前後)のお湯に15分入ると、カラダが内側からしっかり温まり、日中の疲労やストレスが抜けていきます。
そして、お風呂から出て寝るまで2時間ほどまったり過ごしていると、一度上がった体温が急激に下がり始めるのです。
この“体温の急降下”が、驚くほどの寝つきのよさを生み出し、深い眠りについて清々しい朝につながります。
ただし、血行不良につながるカラダの冷えには、十分注意する必要がありますので、お風呂から出たら下記の3点を必ず守るようにしてください。
入浴後の注意点1:髪はすぐに乾かす
風呂上りの濡れた髪は、自然乾燥で乾かすという方が多いですが、頭が濡れたままだと気化熱で体温が奪われてしまいますし、水分が枕に移って寝具の衛生状態も悪化します。
また、枕が湿気を帯びると、カビだけでなくダニも発生するようになり、その糞や死骸が頭やカラダのかゆみを引き起こすのです。
こうしたトラブルを避けるためにも、風呂から出たらすぐにバスタオルで髪の水分は吸い取り、その後、ドライヤーでしっかり乾かすようにしてください。
短時間の使用でしたら、ドライヤーの熱で髪が傷むことも防げます。
むしろ、自然乾燥だと髪の表面にあるキューティクルが開いてしまって、そこからハリやツヤ、コシなどを生み出す成分が抜け落ちてしまうのです。
入浴後の注意点2:足元をスッポリ覆う靴下を履く
せっかくカラダを温めてリラックスしても、風呂上りに裸足でいたら足先が冷えてしまい、寝る時の深部体温低下を妨げてしまうことに。
ですから、風呂上りは締め付けが緩い靴下を履いて、熱の放出を防ぐようにしてください。
室内用スリッパをはいている方も多いですが、かかとが露出してここから熱が逃げていきますので、こうした習慣はNGです
入浴後の注意点3:冷たい飲料を飲まない
入浴中は大量の汗をかきますので、風呂上りの水分補給は不可欠です。
しかし、冷蔵庫で冷やしたペットボトルの水など、冷たい飲料をカラダに入れてしまうと、せっかく温まったカラダは一気に冷えてしまうのです。
もちろん、快眠の妨げになることは、言うまでもありません。
風呂上りに限らず、夜はカラダを冷やさないというのが鉄則ですので、なるべく常温に近い水を飲むようにしましょう。
寝る時間に近づいたら、あったかいハーブティーを飲むといいですね。
イライラしたり、落ち込んだりしている心をやさしい香りと味で鎮めて、リラックス気分を進めてくれます。
寝る前に温かい飲料を飲めば、膀胱が冷えて寝ている間にトイレに行きたくなることも避けられますので、夜中の尿意発生でお困りの方は、今日から試してみてください。
今回のまとめ
寝室と寝具内の温度や湿度、それに体温のリズムが夜の快適度をアップさせて、疲れがしっかり取れる良質な眠りにつながることがお分かりいただけたでしょうか?
わたしたちはきっかけがないと、寝具の環境を見直したり、買い替えを検討したりしない傾向にありますから、この記事を読んだ後にさっそく、今使っている枕や敷き寝具の状態をチェックしてみてください。
思わぬ寝具機能の低下に気が付いて状態を改善したら、グッスリ眠れようになって、日中のパフォーマンスアップにつながることでしょう。
