《医師監修》知っておきたい睡眠薬の種類と副作用 | 薬の常識Q&A7選

《医師監修》知っておきたい睡眠薬の種類と副作用 | 薬の常識Q&A7選

安眠・快眠方法

まずはどれに該当するか確認!不眠の4タイプ

ストレス社会で生活しているわたしたち日本人は、5人に1人の割合で眠りに不満を持っているそうです。
(厚生労働省調べ)

睡眠の悩みは人それぞれですが、不眠の症状で分類すると、下記の4タイプに分かれます。

不眠に悩んでいる方は、まず自分がどのタイプに該当するか確認し、解決の糸口を探ってゆきましょう。

①入眠障害

布団やベッドに入ってもなかなか眠くならず、眠りにつくまで1時間ぐらいかかるという方は、「入眠障害」を発症している可能性があります。

眠ろうとしても、昼間に起きた嫌な出来事を思い出したり、この先の不安などに支配されたりして、心身が緊張に包まれることがありませんか?

入眠障害は、うつ病などの精神疾患でも多く見られます。

また、周囲の環境や寝具の状態、体温の状態なども入眠に悪影響を与えます。

布団に入った時、音がうるさいと感じるようでしたら、興奮して脳が覚醒してしまいますし、入浴直後だったら体温が高くなりすぎていて、入眠の妨げとなっているかも。

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②中途覚醒

夜中に何度も目が覚める症状が継続するのが、「中途覚醒」という不眠症状です。

いびきをかいている、外部から刺激(音、光、振動など)を受ける、といったことが要因となり、深い眠りが得られなくなるので、起床時の熟睡感が低下します。

これも、うつ病などの精神疾患でも多く見られます。

また、年齢を重ねると膀胱の機能が低下して、夜中にトイレに行く回数が増える「夜間頻尿」を引き起こし、眠りの質が落ちることもあるんですよ。

③早朝覚醒

起きようと思った時間より早く目が覚め、そのまま脳が覚醒して眠れなくなる状態が「早朝覚醒」。

適正睡眠時間が短くなっている、うつ病や高齢者に多く見られる症状です。

④熟眠障害

適正な睡眠時間をとっているにもかかわらず、朝起きた時に

「寝ても寝足りない」

とかんじるのが、熟眠障害の特徴。

これは、深い眠りであるノンレム睡眠の時間が短く、浅い眠りのレム睡眠の時間が多くなることで発生しやすい症状です。

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不眠を解消するには、生活習慣を見直すことが不可欠。

睡眠不足が続いている方は、1日30分、布団に入る時間を早めて、少しずつ適正睡眠時間に近づけてゆかないと、不眠の症状はさらに悪化しますし、ココロの病気につながることも。

寝つきが悪い方は、少しでも心が落ち着く環境に変えましょう。

そして、起床前に目が覚めてしまう方は、布団に入る時間を調整したり、いびきや夜のトイレを減らしたりする工夫をして、中途覚醒、早朝覚醒を引き起こしている要因を探してみてください。

こうした努力を続けているにもかかわらず、不眠が一向に改善されなくて、日常生活への支障が拡大してきた場合は、迷わず専門医に相談することをおススメします。

最近は睡眠のクリニックもありますし、心療内科や精神科への相談も有効です。

自分では気づかない不眠の原因を見つけて、適切なアドバイスや治療を受けて不眠を改善していきましょう。

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睡眠薬はどれも同じではない?

心療内科や精神科を受診すると、医師は不眠の症状に応じて睡眠薬の処方を提案します。

今まで、睡眠薬を飲んだことがない方でしたら、薬を飲むことに抵抗を覚えるかもしれませんが、これから説明する睡眠薬の特徴を抑えつつ、医師の指示に従っていれば心配は無用です。

睡眠薬は、正しい睡眠をとって心身の疲労をしっかり回復させ、昼間も活動的な生活ができるようにするという「生活の質」を向上させるための薬だということを認識してくださいね。

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では、睡眠薬の種類から解説してゆきます。

現在、処方薬として使われている睡眠薬は、カラダに作用する時間によって4つに分類されます。

①超短時間型

入眠障害に有効で、飲んでから1~3時間に効果が一番発揮されます。

逆に、服用から3時間以上経過すると効果はなくなってしまいますから、中途覚醒や早朝覚醒の症状改善にはつながりにくいです。

主な薬:ハルシオン、アモバン、マイスリー、ルネスタ

②短時間型

作用時間は5~6時間で、入眠障害と中途覚醒、両方の不眠に効果があります。

翌日まで睡眠作用が残る(これを持ち越し効果と言います)ことは少なく、目覚めもよくなりやすいという特徴があります。

主な薬:レンドルミン、リスミー、エバミール

③中間型

薬を飲んでから7~8時間は効果が続くので、中途覚醒や早朝覚醒の症状がひどい方に向いています。

短時間型の薬で改善が見られなかった場合、この中間型に薬を変更することがあります。

持ち越効果が見られることがあり、睡眠時間が短い方が飲むと、朝起きた時にボーっとした感じが続き、活動モードに入るまで時間がかかるようになります。

主な薬:サイレース、ベンザリン、エリミン

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④長時型

作用時間が9~10時間と非常に長く、持ち越し効果も高いのが特徴。

主に、早朝覚醒の改善に用いられる薬で、毎日服用していると体内に成分が蓄積してゆき、その影響で認知力や運動能力が低下することがあります。

主な薬:ソメリン、ドラール、ダルメート

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気になる睡眠薬の副作用は4つ

睡眠薬に限ったことではありませんが、薬には作用があるのに対して、必ず副作用も発生します。

たとえば、頭痛薬を飲めば胃液の分泌量が減りますから、胃の不快感が生じますし、風邪薬には鼻水を止めたり、熱を下げたりといった作用がある一方で、ノドが乾く、眠くなるといった副作用が生じますよね。

睡眠薬もこれと同じで、短時間型のタイプであっても、下記のような4つの症状が起きやすくなることを覚えておきましょう。

睡眠薬の副作用①:持ち越し効果

先ほども少し触れましたが、睡眠時間は作用が長い薬ほど、翌日まで眠気などの症状が持ち越されることがあります。

超短時間型の薬でしたら、持ち越し効果はあまり見られませんが、長時間型になるとこうした症状が長く続くので、日常生活に支障が出ることがあります。

判断力なども低下しますので、車の運転などは危険です。

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睡眠薬の副作用②:筋弛緩作用

薬の作用で筋肉に力が入りにくくなり、ふらついて転倒しやすくなります。

こちらも、作用時間が長い薬ほど頻出する症状ですので、とくに、起き上がる時は注意してください。

睡眠薬の副作用③:健忘・記憶障害

超短時間型の薬を飲んだ時に起こりやすいのが、健忘や記憶障害で、薬を飲んでから寝るまでの記憶がなくなることがあります。

これは、薬が記憶を司る脳の海馬の機能を低下させるからで、無意識のうちに誰かに電話をかけていたり、冷蔵庫の中の食べ物を食べていたりと、ビックリするような行動をとることも。

こうした副作用を防ぐために、薬を飲んだらすぐに布団に入ることと、お酒と一緒に飲まないということを守ることが大切なんです。

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睡眠薬の副作用④:反跳性不眠

睡眠薬の服用が長期にわたると、薬の成分にカラダが慣れてきて、作用が弱まることがあります。

この状態で、薬の量を減らしたり、服用を止めたりすると、不眠症状が強くなることがあるんです。

短時間型の薬によくみられる傾向で、医師に相談することなく、自分で睡眠薬の量を調整したり、服用をストップしたりすると、このような症状が出ます。

副作用の症状だけを見ると、

「やっぱり睡眠薬は怖い」

と感じるかもしれませんが、医師の指示に従って用法・用量を守っていれば、さほど心配することはありません。

薬が合わないと医師が判断した場合は、種類や量の調整を行ないますし、不眠の症状が改善に向かうにつれて、だんだんと弱い薬に変更して、最終的には服用なしで眠れるように導いてくれますよ。

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まだまだある睡眠薬の心配をQ&A式で解説!

繰り返しになりますが、睡眠薬は医師の指示に従って飲めば安全ですし、ツラい不眠だけでなく、心身の痛みなども回復してゆきます。

長期にわたって眠れない悩みを抱えている方は、生活の質を上げる手段として服用を検討してみてください。

とは言っても、睡眠薬の副作用だけでなく、気になるポイントはまだまだあることでしょう。

そこで、Q&A式で7項目まとめてみましたので、みなさんの不安を緩和するためにもチェックしてみてください。

Q1:市販の睡眠薬と病院の処方薬は違う?

A.

薬局やドラッグストアなどで購入できる睡眠薬は、「睡眠対策薬」といって、一時的な不眠の改善を目的に作られています。

ですから、服用期間も2~3日程度と定められていて、長期の服用はできないんです。

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睡眠対策薬は、風邪薬に含まれているのと同じ成分が使われていて、副作用による眠気の発生を利用して快眠に導きます。

睡眠薬とはカラダへのアプローチが異なりますので、処方薬と一緒に飲んで良いかは主治医や薬剤師に相談しましょう。

Q2.家族が服用している睡眠薬を飲んでも大丈夫?

A.

危険ですから、絶対にやめて下さい。

病院ではその人の症状に応じて最適な薬を処方しており、副作用の発生リスクなども詳しく説明します。

それを知らずに飲んでしまうと、副作用の影響で事故を起こしてしまったり、かえって不眠がひどくなったりすることもあるんです。

ちなみに、睡眠薬を他人に譲ることは、法律で禁止されているんですよ。

Q3.睡眠薬を飲み続けると、効かなくなることがある?

A.

あります。

これは、他の種類の薬にも当てはまるのですが、同じ薬を飲み続けているとカラダが慣れてしまい、作用が弱くなる「耐性」が発生することがあります。

この点も医師が診察の時、患者さんの反応から状況を把握して、薬の調整を行ないますから、さほど心配する必要はありません。

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Q4.寝酒は睡眠薬の代わりになる?

A.

なりません。

アルコールを飲むと、寝つきはよくなりますが、脳が覚醒しますから睡眠が非常に浅くなります。

また、利尿作用がはたらくため、トイレで何度も目が覚めますし、中途覚醒が発生して、そのまま朝まで眠れなくなることも。

さらに、筋肉の弛緩作用でノド周辺がゆるみ、気道が狭くなります。

これによって、呼吸のために取り込んだ空気の通り道が狭まり、カラダが酸欠状態になりますし、いびきがひどくなって呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こすことも。

寝酒は、百害あって一利なしです。

もちろん、睡眠薬と一緒に飲むのも禁止ですよ!

Q5.寝る前のホットミルクは快眠効果あり?

A.

残念ながら、ありません。

牛乳には、睡眠ホルモンの原料となる「トリプトファン」が豊富に含まれていますが、摂取してすぐに効果を発揮することはないんですね。

温かいドリンクを飲むと、気分がホッとしますが、牛乳だと胃が消化活動を始めてしまいますので、深い眠りの妨げとなってしまいます。

Q6.睡眠薬は一度飲み始めると、止められなくなる?

A.

そんなことはありません。

そもそも睡眠薬というのは、それだけで不眠を改善するのが目的で飲むのではなく、睡眠障害の要因を取り除きながら、快眠に近づけるために利用する薬なんです。

知っておきたい睡眠薬の種類と副作用 | 薬の常識Q&A7選

・ストレス過多の状態にある方は、毎日ストレス発散につながる趣味の時間を過ごす

・体内時計に狂いが生じている方は、毎朝同じ時間に起きて朝日を浴びる

・寝る前の入浴、スマホの操作など、交感神経を刺激するような生活習慣は改める

こうした日常の改善を並行して行うことで、不眠症は改善に向かってゆくんですよ。

睡眠薬を飲み始めたら、薬の種類や量の調整は行ないますが、どの医師も

「薬を飲まなくても質の高い睡眠がとれて、健康的な生活を送れるようになること」

を目標に治療に当たっていますから、安心して専門医のもとに足を運んでくださいね。

Q7.睡眠薬の副作用で認知症になる?

A.

長時間型の睡眠薬を飲む量が多く、期間も長期になると、認知力が低下するという研究結果があります。

そのため、

「睡眠薬を飲む=認知症になる」

という認識が拡大したのでしょう。

しかし、これは認知症の初期段階にある方を対象にした検証なので、脳が正常状態にある人への睡眠薬の影響は、これからの研究にゆだねられているのが実状です。

ですから、認知症への影響はまったくないとは言い切れないのですが、少なくとも

「睡眠障害を抱えている人の、認知症発症リスクは高い」

ということは立証されていますから、不眠を早期に改善する手段として、睡眠薬を利用するのは有効と言えるのではないでしょうか?

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今回のまとめ

副作用の強さを考えると、睡眠薬は決して気軽に飲める薬とは言えませんが、医師は患者さんの細かい変化まで観察して、安心して薬を服用できるように配慮しています。

医師との信頼関係をしっかり築けば、副作用の影響を最低限に抑えることができますし、何よりも、不眠の苦しさから次第に解放されてゆき、快適な日々が増えることに喜びを感じるハズです。

ですから、不眠が続いたらひとりで悩まず、まずは専門医に相談して気分をラクにしましょう。

医師と二人三脚で、生活改善に取り組みながら睡眠薬で眠りの質を上げてゆけば、薬なしでグッスリ眠れる生活が待っていますよ。

Sleepion

この記事を監修したドクター

ドクターイメージ

石川 慧璃 医師

赤羽南口メンタルクリニック院長/精神保健指定医

経歴

2006年筑波大学医学専門学群卒業。米国臨床TMS学会会員。薬物療法やアルコール依存症専門治療病棟での精神療法プログラム、脳に直接アプローチして治療するTMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)など、様々な臨床経験がある。また、直営精神科情報サイト『医者が教えない精神科のこと(http://tokyo-mentalclinic.com/))』で、医師がわかりやすく解説した精神科医療情報を配信している。

経歴

2006年筑波大学医学専門学群卒業。米国臨床TMS学会会員。薬物療法やアルコール依存症専門治療病棟での精神療法プログラム、脳に直接アプローチして治療するTMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)など、様々な臨床経験がある。また、直営精神科情報サイト『医者が教えない精神科のこと(http://tokyo-mentalclinic.com/))』で、医師がわかりやすく解説した精神科医療情報を配信している。

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